私は日本経済新聞ヨーロッパ社とアメリカ社で、金融・経済記者をしていました。当時、日本語に翻訳した様々な金融・経済関連レポートを見る機会があったのですが、その内容はクオリティが高いとは言い難いものが多く、レベルの高い翻訳サービスの不足を感じました。そこで、自ら金融・経済翻訳業界全体の水準を高められないかと考え、翻訳会社を設立したのです。
現在、金融業界に限らず様々な企業で、人員削減を進め業務をアウトソース化する傾向が強まっています。社内翻訳者や翻訳担当部署自体がないという企業もめずらしくありません。そのため、実力次第で社外の翻訳者が活躍できる可能性が高いのです。
金融翻訳に多いのは月次や週次のレポートなどの定期案件です。翻訳技術を身につけ、こうしたレギュラー案件を受注できれば、安定した収入を確保できます。入稿日と納品日がほぼ一定であるため、スケジュールを組み立てやすいのも特徴です。また、継続性のある案件にじっくりと取り組むことで、翻訳力を着実に磨いていくこともできます。
経済は、政治から文化まであらゆるものに影響しています。翻訳のジャンルは幅広くありますが、金融・経済の知識は生活に役立ち、世の中の理解も深まります。ニュースひとつにしても、裏にどういった経済事情があるのか、国政がどう動いているのかなど世界の見方が変わるはずです。金融翻訳を学ぶことで、キャリアアップと同時に新たな可能性が広がります。
株式会社グローバル・トゥー・ジェイ
代表取締役 宮嶋 佳代子
東京外国語大学卒業後、英国でMBA(経営学修士)を取得。 日本経済新聞ヨーロッパ社およびアメリカ社の金融・経済記者を経て、2000年にグローバル・トゥー・ジェイを設立し、現在に至る。